総理の誕生(本)

慰安婦問題、拉致問題、教科書問題、靖国神社参拝問題、日米同盟と対中関係、対メディア、消費税増税などの諸問題について、安倍総理がどう考え、何を語ってきたのか。

今日の日本社会のあり方と政治的潮流が形成される上で、安倍総理自身がどんな役割を果たしてきたのだろうか。

98年7月に、当選2回目の若手議員だった安倍総理に密着取材をして以来、一時政権崩壊後の失意の時代も常に身近で接し続けた産経新聞 阿比留瑠比記者が描いた大変興味深い作品です。

序章 その時、安倍の言葉を聞いた

「テロとの戦いという国際公約を果たす上で、むしろ私が辞することで局面を転換させたほうがよい。局面の打開を、新しいエネルギーで前に進めていかねばならない・・・」

首相官邸1階の記者会見室で私は、安倍が記者会見を開いて首相の座を辞することを発表したのを間近で見ていたはずだが、実のところ記憶に霧がかかったかのようであまり覚えていない。

ただ安倍が1993年の衆院初当選以来、積み重ねてきたものすべてが、音を立てて崩れ落ちていくのを感じていた。


第1章 実は出世は遅かった

現在に至るまでの道は必ずしも順風満帆だったわけではない。むしろ当選同期の議員の中でも当初は目立たない存在で、政治活動・政治的立ち位置も党内では異端の「理念的保守」という難しい位置にいた。

政府の役職につくのは同期で最も遅れた初当選から7年後であった。ただし政府の役職に初めて登用された官房副長官となるや、持ち前の発信力とぶれない芯の太い発言でたちまち脚光を浴び頭角を現していく。

その足場を作り、後の飛躍の下地となったのが、それまでの7年間、地道に誰よりも熱心に取り組んできた外交・安全保障・教育・拉致問題などにかかわる保守系の諸活動だった。

96年に検定結果が公表されたすべての中学歴史教科書に「慰安婦強制連行説」が掲載されたのをきっかけに、安倍は97年2月、自らが事務局長となり、中川昭一を代表として「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を発足させた。

99年4月、衆院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会で安倍は質問に立ち、集団的自衛権に関して、祖父の岸信介の国会答弁を引いてこう主張している。

「岸首相が国連憲章に言っている、独立国が個別的または集団的自衛権を有するという国際関係において、日本が自由独立国家としてこれを国際法上持っていると考えていいと思う、しかし、日本の憲法を見ると、自衛隊が海外まで出かけて行ってその国を防衛することは禁止している、外国まで出かけていってその国を守るという典型的な例は禁止をしているが、しかし集団的自衛権というのはそういうものだけではない・・・」

15年に成立した集団的自衛権の行使を限定容認する安全保障関連法をはじめとして、若手議員の頃から首相を務める現在まで、歴史観・安全保障観も何も変わらず首尾一貫している「ぶれない」安倍総理が伝わる章です。

第2章 小泉純一郎という両面教師
「もし、日本近海で、日米が一緒に共同訓練なり共同活動をして、その時に、一緒に共同活動をした米軍が攻撃を受けた場合・・・(中略)・・・日本が何もしないということは果たして本当にそんなことができるんだろうか」

01年4月、首相就任記者会見に臨んだ小泉はこう述べ、集団的自衛権の政府解釈の見直しを示唆した。

歴代政権の防衛政策の転換につながる画期的な発言だったが、小泉にこう言及させたのも実は安倍と、元駐タイ大使の岡崎久彦だった・・・

保守派の地盤をズタズタにした05年夏の郵政解散・総選挙について
「彼らは間違っている。自分のやりたいことを実現しようと思うのなら、権力の近くにいなければならない。郵政民営化なんて本来、我々が目指していることに比べたら、どうでもいいことではないか」

官房副長官・幹事長・幹事長代理・官房長官と政権の真ん中にレールを敷かれ、後継に指名された安倍総理は、
「保守で十年つなぐ。自分は何年できるかわからないが、保守派の首相が10年続けば、霞が関の官僚たちは頭がいいから、保守派じゃないと出世できないと理解して保守派に染まるだろう。そうなると、それが社会に浸透していく」

ちょっと個人的な感想をば・・・

親中から親米に大きく舵を切り、安倍総理や麻生元総理をはじめとした現在の保守派のリーダー達を重要な役職に登用して大きく育てた小泉政権ですが、

一方で

市場経済万能路線で、行き過ぎた規制緩和を推進したり、女系天皇への道をひらく皇室典範改正に熱心(安倍総理をはじめ保守派の多くは反対していた)等の負の一面もあります。

ブラック企業勤務経験者としては、竹中平蔵氏の発言を「ふざけんなー!!」と思う事が多々ありましたし、民主党政権の誕生も小泉政権の負の一面も要因であると思います。

ただ一方で、小泉政権が無ければ、親中派の経世会支配が続き、見せかけだけのファッション保守ではない、安倍政権や麻生政権のような本当の意味での保守政権は誕生しなかったと思います。

まさに両面教師・・・

現状の日本の政治の流れを知るのに大変に重要な作品だと思いますので、3回(予定)に分割させて紹介させて頂きます。なにとぞ宜しくお願い致します。



テーマ : 安倍晋三
ジャンル : 政治・経済

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